スリランカ 大統領の再選に疑義 総選挙控え党派・民族の対立激化

 スリランカ大統領選挙が1月26日に行われ、現職のマヒンダ・ラジャパクサ大統領が勝利した。任期は6年。しかし、野党統一候補のフォンセカ前国軍参謀長は、選挙に不正があったとして異議を申し立てた。任期満了に伴い、一院制議会の総選挙が6月までに実施される予定で、与野党の対立が激化しそうだ。外交政策に関して、ラジャパクサ政権は、西側先進国による人権問題への介入を警戒しており、中国など非欧米諸国への依存を深めるだろう。

 ≪分析≫

 大統領選は、ラジャパクサ大統領が2年の任期を残し、前倒して行われた。反政府武装組織「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」との内戦に昨年5月、勝利した余勢を駆って再選を確実にする戦略だった。

 ところが同じく内戦を勝利に導いたフォンセカ前参謀長が立候補を表明。反ラジャパクサ大統領の一点で一致する主要野党の統一候補として、現職大統領と事実上の一騎打ちになった。

 同国の選挙管理委員会によると、ラジャパクサ大統領の得票率は57.88%、フォンセカ前参謀長は40.15%だった。

 ◆タミル人投票できず

 しかし、フォンセカ前参謀長は、政府が運営する難民キャンプと投票所がある村まで輸送の不手際で多くのタミル人が投票できなかったとして、選挙管理委員会のディサナヤケ委員長に選挙の無効を求めている。ラジャパクサ大統領とフォンセカ前参謀長はともに民族的多数派のシンハラ人だが、フォンセカ前参謀長は少数派タミル人の政党からも支持を受けていた。

 選挙管理委員会から承認された選挙監視団体の一つ「自由で公正な選挙のための人民活動」は、選挙法が定めた、すべての候補に対する公正で均衡のとれた報道が守られなかったと指摘している。選挙期間中、国営テレビはナチス・ドイツの指導者、ヒトラーやウガンダ軍政の独裁者、アミン元大統領のドキュメンタリーを放送し、軍人が政治に関与する危険性を報じた。ディサナヤケ委員長自身、国営メディアの報道のあり方に懸念を表明していた。

 ラジャパクサ大統領は、前参謀長に投票した有権者に、選挙結果の正当性を納得させなければならない。野党はすでに、選挙法違反を理由にラジャパクサ大統領の勝利に疑問を投げかけている。

 野党同盟の一角を担う、シンハラ民族主義の左翼過激派「人民解放戦線(JVP)」は労働組合や学生運動に強い影響力を持つため、街頭で抗議デモが行われる恐れもある。

 ◆非欧米に依存

 総選挙までに、ラジャパクサ政権が西側諸国に融和的な態度をとるのは難しいだろう。同政権は、西側諸国が援助を盾にして、スリランカに人権条件を押しつけていると非難している。

 欧州連合(EU)は、昨年11月、スリランカに対する一般特恵関税の優遇制度(GSP+)の停止を発表した。これは、ラジャパクサ大統領が大統領選挙の前倒しを求めた時期と重なる。EUはGSP+再開の条件として、人権順守をラジャパクサ政権に求めている。

 米国務省などが詳しく調査しているスリランカ内戦中の戦争犯罪や人権侵害は、大統領の実弟、ゴタバヤ・ラジャパクサ国防相の責任にかかわり、同国政府にとって敏感な問題だ。このため、スリランカ政府は国際舞台でこの問題が扱われないようにするため、ロシア、中国、イランなど、非欧米諸国に依存し続けることになるだろう。

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 ≪結論≫

 総選挙が近づくにつれて、野党陣営は選挙の不正を争点として団結してくるだろう。これは、総選挙まで、場合によっては総選挙後まで、党派間、民族間の対立が続くことを意味する。ラジャパクサ政権は、中央集権的な厳しい締め付けを通して、シンハラ人の地盤を保持し続けようと試みるはずで、少数民族や国際社会の懸念に対し、非妥協的な姿勢を貫くだろう。(オックスフォード・アナリティカ)

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