オバマ大統領、命運かかる経済政策 中間選挙にらみ大衆迎合に傾斜

オバマ米大統領は1月27日、就任後初の一般教書演説を行った。演説では、内政、特に経済政策に重点が置かれ、11月に行われる連邦議会の中間選挙を強く意識したものとなった。大統領は、雇用の創出と財政赤字の削減を最優先課題とし、医療保険、金融規制の改革継続を訴えた。金融部門に対する国民の敵意が強いことを受け、オバマ政権は大手金融機関に「金融危機責任税」を課し、取引内容に制限を設けようとするなど、大衆迎合主義に傾斜しつつある。

≪分析≫

 一般教書演説に先立つ1月19日、民主党の故エドワード・ケネディ上院議員が保持していた議席をめぐる補欠選挙がマサチューセッツ州で行われ、共和党のブラウン同州議会上院議員が民主党のコークリー同州司法長官に勝利した。同州は民主党の地盤とみられていたため、オバマ大統領をはじめ、民主党陣営が受けた衝撃は大きかった。

 上院100議席の内訳は、民主党59議席、共和党41議席となり、民主党は共和党のフィルバスター(長演説などによる議事妨害)を阻止できる3分の2の議席を確保できず、重要法案の議会通過が難しくなった。そればかりでなく、リベラル派が多いマサチューセッツ州の補選で共和党が勝利したことで、中間選挙で共和党が議席を増やす見通しが強まっている。

 民主党敗北の最大の原因は10%という26年ぶりの水準にある失業率の高さと、景気の先行き不透明感にある。オバマ大統領は当初、少なくとも就任後12カ月間はブッシュ前大統領と共和党に不況を責任転嫁できると考えていたが、経済問題は民主党陣営が考えていたより早く、政治の争点となっている。

 ホワイトハウスは、有権者の認識を変え、中間選挙で共和党の躍進を食い止めるために経済分野におけるさらなる行動が必要だと直ちに結論づけた。オバマ大統領は1月21日、ボルカー元連邦準備制度理事会(FRB)議長が中心にまとめた「ボルカー・ルール」への支持を表明、金融規制の強化を打ち出した。預金を扱う商業銀行に対し、ヘッジファンドや未公開株投資会社(PE)の所有や、自己勘定投資業務を制限する。

 オバマ大統領は一般教書演説で、雇用創出を喫緊の課題として強調する一方、2011会計年度(10年10月~11年9月)から3年間、国防費や社会保障費などを除く裁量的歳出の伸びを凍結することを表明。中長期的な財政再建の道筋を勧告する超党派の委員会を大統領令で設置することを提案した。

 ただし、金融規制や財政規律を実行に移すためには議会による立法が必要だ。金融機関に対する世論が厳しいため、共和党も議事妨害は行えず、米上院で単純多数の51票で金融規制改革法が成立する可能性がある。しかし、議会の審議過程で法案が骨抜きにされるかもしれない。

 ≪結論≫

 オバマ大統領と民主党指導部は、経済政策で大衆迎合主義を追求しながら、財政支出削減の「リップサービス」を行うだろう。金融規制強化に関するオバマ大統領の最近の提案については、上院で激しい応酬が予想される。11月の中間選挙で共和党の躍進は確実だが、同党が上下両院で過半数を制するとみるのは非現実的だ。(オックスフォード・アナリティカ)

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