ソマリア、海賊対策に限界 国際派遣、重い費用負担
2010-01-29
「アフリカの角(つの)」と呼ばれるソマリア沖の海賊は、欧州、中東、アジアを結ぶ、商業上重要なシーレーン(海上交通路)を脅かしている。現在、欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)、米国、日本、中国など14カ国・地域が警備・護衛の艦船を派遣しているが、海賊発生の根本原因に対処できない軍事的なアプローチには限界がある。
国際海事局(IMB)によると、2009年のアデン湾における失敗した事例を含めた海賊襲撃件数は116件(08年92件)、ソマリア沖は80件(同19件)だった。09年末までに世界全体で406件の海賊事件があり、紅海南部を含めたソマリア近郊の発生件数は217件だった。
ソマリア沖の海上パトロール区域は2万平方マイル(約520平方キロメートル)もあり、現在アデン湾に展開する30隻よりはるかに多くの艦船が必要だ。費用の問題もある。例えば、欧州からソマリア沖にフリーゲート艦1隻を1カ月間派遣するのに約130万ドル(約1億1700万円)かかる。派遣費用の問題から、作戦の継続性に疑問が生じている。
海賊の本拠とされる内陸部への艦砲射撃や空爆にも難題がある。地域社会の中で海賊は一般の漁師と区別がつかず、軍事行動は市民の被害を伴うため、強い反発を受ける副作用がある。
これまで海賊の根本問題の解決に十分な関心が払われてこなかった。ソマリアで海賊が生まれる社会的、経済的原因には、貧困、低開発、統治の崩壊などがある。昨年9月、新設のソマリア沿岸警備隊で、最初の500人が訓練課程を修了した。これは好ましい動きといえるが、沿岸警備隊は国際的な資金に完全に依存している。
海軍艦艇の派遣など、ソマリア沖の海賊への国際的対応により、乗っ取りに成功する機会は減っているかもしれない。しかし、現在も襲撃の試みは急増しており、抑止効果は不十分だ。(オックスフォード・アナリティカ)