ベトナム 国営企業めぐり党内対立 民営化阻む保守派の既得権
2010-01-28
国営企業の民営化をめぐり、一党独裁を続けるベトナム共産党内部の路線対立が深刻化している。改革派は対外開放政策によって外国資本を誘致したいと考えているのに対して、保守強硬派は、外資を遠ざける危険を冒しても、国家による経済支配を維持しようとしている。特に2008年の経済危機以降、改革派のグエン・タン・ズン首相は、保守派の抵抗に直面している。
国営企業の民営化は、党エリート間で政治的に扱いにくい問題であり、ベトナムでは「株式化」と呼ばれる。1986年の第6回党大会で、社会主義に市場経済システムを取り入れた「ドイモイ(刷新)」政策が採択された。株式化は、91年の第7回党大会から始まった。国営企業の株式化は、これまで保護されてきた金融、航空などのサービス分野にも及ぼうとしている。
今月8日、オーストラリアのカンタス航空系列の格安航空会社、ジェットスター・パシフィック航空(JPA)の前最高経営責任者(CEO)が逮捕された。JPAにはベトナム政府も資本参加し、逮捕容疑は3100万ドル(約27億7000万円)に上る燃料の先物取引で大きな損失を出したことだが、逮捕劇の背後にはベトナム運輸省強硬派がいるとみられる。国家資本投資経営総公社(SCIC)によるJPA株27%のカンタスへの売却後、運輸省は、国営ベトナム航空の支配的地位が弱まったことに危機感を抱いていた。
ベトナム国営企業に資本参加した外国企業は、官僚の横やりで経営権の行使が困難なことに気づき始めている。また、軍部は、通信、エネルギー、航空、インフラなど、いわゆる「戦略部門」に既得権を持っている。
ベトナム政府が経済のスリム化を進めるつもりなら、国営企業の改革は不可欠だ。しかし、改革の停止や逆転はないとしても、既得権とイデオロギーの保守主義のために、今後12カ月、改革の進展は遅いだろう。(オックスフォード・アナリティカ)